大学のブランドよりも大切な講師の質
大学を選ぶときにはどうしてもその大学の偏差値とこれまでの知名度で自然に上下を決めて、その中でできるだけランクが高いところというふうにしてしまいがちです。
これは日本の教育システムの最大の欠点と指摘される点であり、最高学府として東京大学を頂上にして全国の他の大学は東大の劣化コピーであるというふうに揶揄されることもありました。
言い換えればこれまでの全国の大学は全て東京大学や京都大学のような一流大学の教育方法を真似ることこそが最善の教育方法だというふうに思い込んできたということでもあります。
海外でもハーバード大学やイェール大学など国際的に有名な一部の大学のようにその大学に入学すること自体が大きなブランドになるという例もあることはあるのですが、日本ほど極端な序列がついているというわけではありません。
つまり偏差値という一つだけのものさしではなく、ある大学でしか学ぶことができないカリキュラムがあったり、そこでしか授業を受けることができない名物講師を招いたりといったことが行われているのです。
なのでどの大学を最終学歴としているかということが単に勉強の成績の上下という縦軸だけの評価基準ではなく、横に大きく広がる職能の習熟度というふうに評価をされています。
日本においてもようやくそうした大学ごとの特徴を活かすという試みがされはじめてきたところです。
そうした偏差値だけでは表れない大学の魅力を左右する事項となるのがそこに在籍をする講師の質です。
学長や講師陣の実績にも注目
学生目線で見ると、受験生同様に大学講師や教授も同じように実績や成績によってランクの高い大学に振り分けられていくものだというふうに考えてしまいます。
ですが大学における講師職というものは一般的な会社員に比べてかなり不安定であり、その研究者がテーマとしている内容について大学側が理解をしてくれていないとなかなか長く勤務をすることができません。
自分自身が大学生や院生であったときには一流の大学にいた人が、研究者となったときには地方の小さな大学の講師をしているということもよくあります。
そのため仮に小さな大学であってもそこで教鞭をとっている研究者の過去の実績までも注意して調べておきたいところです。
そうした優れた研究者のいる大学に入学することで一緒に研究に取り組むこともできるため、将来的に大きな実になる勉強をしていくことができます。
入学したい学部学科の講師の雇用形態にも注意
講師や教授の過去の研究実績ともう一つ合わせて調べておきたいのが、自分が希望する学部学科の講師陣がどういった雇用形態をしているかということです。
よくあるのが総合大学として文系学部と理系学部が数多く設置されている大学で、特定の学部や学科では有名な教授が専任で雇用されているのに、別の学部ではほとんどが臨時講師ばかりというような例です。
大学は昔から総合大学であった例は少なく、ほとんどが最初は1~2つの学科で始まりそこから生徒数を増やしていったという経緯を持っています。
ですので昔から強い学部ではコネもあり有名な教授を正規で雇用できるのですが、後付された学部においてはとりあえずの数揃えでしか講師を用意できていないというようなこともあります。
臨時講師でも立派な志を持った方はたくさんいるのですが、それでも明らかに力を入れられていない学部学科では満足のいく授業を受けることができない可能性があります。